どちらかというとマンガ雑誌は端から端まで読んで、活字のところも読んでから捨てます。もったいないからというのもありますが、大体どんな本でも(たとえ文庫本でも、ハードカバーでも)気にいったら何回も同じ本を読みます。・・・・・・・・・ただ忘れっぽいからなのかもしれない。
でもそんな読み方のせいで、大切な事を見逃すことは無いと思っていました。
しかしそんな事はありません。天網恢恢祖粗にして漏らさずと言いますが、私は人間なので粗にして漏らしまくりました。
2005年の17号ですから、8月9日発売分のイブニングで最終回だった
「S60チルドレン」の作者でした
川畑聡一郎が11月22日に亡くなられたそうです。お年は31歳。最終回を書いて単行本が発売されてからなんと3ヶ月で亡くなられてしまったのです。
彼のマンガの絵は独特のデフォルメされたキャラクターと、話の方ではちゃんと適材適所にちりばめられた時代を彩る小道具を使い、紙上に昭和60年代を作り出した話作りで、新人の連載と言うよりは、既に一定の評価のある中堅マンガ家といっても十分通用する実力を持っていたと思います。また「S60チルドレン」の主人公は、すごく運動が出来たり、絵が上手かったり、ひょうきんだったり、かっこよかったりしない、ここまで平均値の主人公は少ないだろうというぐらい一般的な小学生でしたが、最終回で冒険をし、別離を経験しそして再会をするという、出来すぎとも言える面白いストーリィをのこし、虚空に煙となって彼は昇天してしまわれたそうだ。
彼がいったいどんな闘病生活をしていたのか、どんな風に生活をしていたのか、一緒に居た訳ではないのですが、彼のマンガの主人公
晶が最終回で断行した福岡までの冒険に、現実では抵抗出来ないジレンマのようなものに、何か決着をつけた作者の心境が反映していたのではないだろうかと深読みしてしまうのでした。
特徴的な絵としっかりしたストーリィでまだまだ活躍して欲しかったマンガ家でした。
気が付かなかったこと、気が付いていたとしても何も出来ない一読者なのですが、やはり気が付かず読み飛ばして、一週間後に気が付いた自分が不甲斐ないと思ったのでした。
御冥福をお祈りいたします