日一日と秋の深まりを感じる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
秋は気温、湿度の変動が激しく体調を崩しやすいですので、インフルエンザA(H1N1)などにかからぬようにお願いします。
さて、秋といえば食欲の秋。天高く馬肥ゆる秋。という事でこの週末、私zukunashiは秋を楽しむ第一弾として
ケミチョさんの芝居を見に行く事にしました!!前段と後段に繋がりが無いのはいつもの事。さくっと無視してやってください。
義経記・・・源義経のお話ですね。
ケミチョさんは敵方平家の棟梁
平清盛と、清盛亡き後の平氏をまとめ、義経と戦い最後まで平氏再興を願った悲運の武将
平知盛の二役!!スゲー!!と思っていたら、ほとんどの役者さんが二役以上をやっていました(^^ゞ
で、芝居はブログにも載っていましたがパラレルワールド風の時代背景無視の歴史物です。時間通り話が進まないときが気じゃないような方にはあまりお勧め出来ませんが、単純に楽しめる方には逆にお勧めです。
それに日本史の中でも特に有名な源義経。当時の戦の常識を壊し、向かうところ敵無しの強さを誇り、なのに身内の争いで倒れた悲運の武将・・・でも実はその後モンゴルに渡りジンギスカンに・・・?など幾多の伝説を持つ魅力あふれるキャラクターの話です。
そんな感じでたぶん皆さん予備知識はあるので非常にとっつきやすいかもしれません。でもこのお芝居は、そんな自分の予備知識がアダとなり、え!なに!!なんで?!ああ!なるほど!!と言う類の話になる事は間違いないでしょう。
あと義経を支える武蔵坊弁慶、伊勢の三郎、佐藤継信忠信、静御前などと敵役になる平清盛知盛、北条政子や源頼朝、木曽義仲、梶原景時など性格描写が出来上がっているのでそこの所で引っかかることはないでしょう。マア梶原景時萌なんであの描写は許せないというような事はあるかもしれませんが・・・。
あと、役者さんはとても気さくな演技でとっつきやすいです。芝居っぽく演出しているシーンも当然ありますが、そこらへんにいる兄ちゃん姉ちゃんがそのまま・・・という感じの演技が普通のように出てきます。だから居住まいを正してみるような堅苦しさとは縁がありません。なので話の筋も分かりやすいです。
ただし一つ気をつけて欲しいのは、このお芝居。
長いです。2時間半ほどかかります。途中5分休憩が入ります。今時の映画でも2時間を越えると“長い!”とフィルムを編集されるそうです。(契約によりますが)ですが座ってみたところはそんなに長くは感じませんでした。トントン拍子に話が進み、休む暇もありません。おちゃらけて笑っているシーンや、感動的なシーン、音楽バリバリ踊っちゃうシーンなど飽きさせない演出も凝っています。
でも2時間半はちゃぁんと時間が経っています。ええ、疲れます。特にある程度年齢がいった方は。ご注意ください。
あと、もう一点。ケミチョさんの事です。
かれは結構
かっこいい役柄です。なんと
義経のライバルにもなります。マア結局引き立て役ですが。
でもそんなケミチョさんを見て
母性本能くすぐられたり、たくましい男を感じて
キュンとしたり、滴り落ちる汗をものともせず声を張り演技する彼を見て
ドキドキしたりするかも知れません。
でもそれは芝居の上の事です。マンガの主人公に恋するようなものです。やめておきなさい、と私からは忠告させていただきます。
という事で、たまには映画や絵画とは違った芸術に触れて見ませんか?
何と言ってもせっかくの秋だし、せっかくのケミチョさんの芝居なんだから。
場所:シアター風姿花伝 地図上の桜の花をクリックすると、ウェブサイトに飛びます。
[9/12]
言壺さんにトラックバック・・・先に観劇されてました(^^ゞ
さて、公演も終わり今頃は舞台をばらしている頃か、それともばらしはスタッフが明日やるので今日はそのまま打ち上げか・・・。いずれにしてもご苦労様でした。
では今回見た『義経記』について幾つか思うところを述べていきたいと思います。
まず見終わってすぐに、アングラ的な要素を残しつつ、テンポのいい演劇だなあと感じました。
テンポを支えるのは動きと声。小道具はあまり使わないし、衣装での変化は劇的ではありません。そのため音響照明に動きと発声でシーンを作っています。
しかし照明はスモークを始終焚いていたせいもありますが、光線の変化をそれほど効果的に場面毎に使えていたとは思えませんでした。舞台装置が単純でしかも黒だったせいもありますが、陰影が死んでしまって全体的にのっぺりとした空間という印象が残りました。
音響はシーンのイメージを作るのではなく、音楽としての曲を流していた感じが強く、音なしのシーンは軽く浮いていました。しかし音があると逆に音に気をとられてしまい、カラオケの舞台を見ているような・・・言い方が悪いとは思いますが・・・気がします。特にラストでサラリーマンの梶原景時が舞台奥に引きながら独白するとき、本当にシーンとしているんですが、何故か静寂が耳障りですっぱり終われた気分になれなかったのを覚えています。
そしてすべての役者さんは本当に良く動いて、シーンに切れ目が無く、そして発声もきれいに澄んでよく聞こえました。踊りや歌もいやみ無くエンターテイメントな感じが出ていました。
と、手放しで賞賛するとしても、実際は幾つか引っかかる所はあります。気にならなかったと言えば嘘になり、そんな枝葉末節が芝居全体に影響があるのかといえば私も即答は出来ないのですが、幾つか愚痴る事をお許し願いたい。
動きについてですが、最初の剣を持って戦う時、両手で殴るように剣を振り下ろしていました。カッコよく、美しく見える型がせっかくあるので(例えば時代劇などで)どうアレンジしてもいいとは思いますが、攻めて剣を振り下ろしている感じを意識してほしかったです。またその後戦いはすべて両の拳で殴り合いになり(一回だけ弓が出てきましたが)なぜあの時だけ刀を抜いたのか?と訝しく思ったものです。
SMでいうMが中盤以降出てきます。あれはちょっと厳しく言わせていただければ演技じゃないです。右手を顎に当て右ひじに左手を置き、またその逆をする。後オネエ言葉でしゃべる。あれはオカマです。オカマはMじゃない。その当時男らしいがSで女々しいのがMという分け方でああなったのだとしたら残念です。Mを“辱めを受けて耐える喜び”と表現するのだとしたら、むしろ女装を楽しんでいるオカマには辱めではありません。またそれに対してよってたかってスカートめくりをするのは単にイジメであって・・・という事でもういいでしょう。
この事については演出の問題と思います。
あと細かい事をいえば気になったのは、一人にスポットを当てている時のその他の人の動きです。上手くイメージしている人も居ましたが、幾人かは話から取り残されていました。
とはいえ、このクォリティーが出せる事について、素直に拍手を送りたいと思います。