紙からウェブへ・・・コミックは移行できるか?
 佐藤秀峰 on Webというウェブサイトがいつの間にかできていました。それはマンガ家の佐藤秀峰氏の個人ウェブサイトです。
 ご存知の方も多いと思いますが、『ブラックジャックによろしく』『新ブラックジャックによろしく』『特攻の島』『海猿』などそれなりに売れている中堅漫画家さんです。ドラマ好きな人には伊藤英明主演でドラマ化されその後映画化までされた『海猿』といえばお分かりでしょう。またマンガとその周辺の情報に気を配っている人でしたら、連載中断して講談社から小学館に発表の場を移したことで知られています。連載中に変わる事は雑誌が休刊する場合を除けば非常に異例で、講談社との間(というか編集部との間)に一体どんな事があったのか話題になりました。佐藤氏側からの話としては佐藤秀峰 on Webのプロフィールをご参照下さい。(flashなんでけっこう重いです)

 さて、佐藤秀峰 on Webのなかの漫画制作日記の4月13日の『漫画貧乏 その8』という記事を読むと、webに作品発表に場を移そうとしている理由などが詳しく述べられています。『漫画貧乏 その8』ですからその1から7までを読めば事情はもっと良く分かります。

 何でそうなってしまったのかを今更言っても仕方がありませんが、これから先どうするかについては紆余曲折があったものの必然的に決まってきます。紙からwebへ。この流れはマンガだけではなく全てのメディアに共通ではないでしょうか。また不況になればなるほど強まっているような気がします。

 その流れの中で佐藤氏は意外と冷静にマンガ制作にかかる費用などを計算し、どうすればいいのかを考えています。紙に対する愛着はあるものの現状を分析して紙媒体からの脱却を図っています。しかし、webへの転換がよいほうに働くかはまだわからないです。

 例えば、現在新聞、音楽、映画・・・色々な分野でどれまでの表現媒体からwebに移行する流れが特に最近目に付くようになって来ました。特に去年あたりから言われているのが新聞です。赤字転落した毎日、産経のみならず朝日、讀賣なども部数と広告費減少で青息吐息といわれています。赤字になったからといって資産が色々あるでしょうからすぐに倒産する事は無いでしょう。ただしこれは日本だけではなく、アメリカやヨーロッパでも同じ問題に直面しています。原因はやはり同じように売り上げの減少です。部数が落ち広告費が減り・・・
 2009年3月17日にはシアトルポストインテリジェンサーという100年以上の歴史のある名門新聞社が、紙による新聞の発行をやめ、全面的にwebに移行しました。リンクニューススタッフも、今までの165人から20人に大幅に減らして経費を大幅に節減して存続を図るようです。2000年ごろから赤字で2009年には身売り先を探していたのですが結局見つからず、このようになったという事です。

 音楽や映像は更に活発にwebを活用しています。
 音楽はアップル社によるiPodの大成功で一気に音楽のダウンロード販売が広がり、当初はDRM(デジタル著作権管理)が付いていたものが、付かない状態でダウンロードできるようになり、一曲99セントだったものが古い曲は69セント、新曲は1ドル29セントで販売する事も出来るようになっています。音楽は徐々にwebで買う(ダウンロード)するものに変わることでしょう。
 また、映画やテレビ番組も同じようにダウンロードしてiPodのようなデジタルメディアプレーヤーや携帯電話、パソコンなどで見る流れが広がってきています。
 音楽や映像は、ライブや劇場で見る生のモノに価値を見出し、そちらを売るための手段としてのダウンロード販売という考え方になりつつあるのでしょう。そしてダウンロード販売で払う金額は安い方に流れていってしまう事でしょう。なぜなら、音楽データは合法的にCDから無料で変換できるのですから。もし、CDをこれ以後出さないというのならば、歯止めはかかるでしょうけれども、今のところそうなる可能性は低いでしょう。
 その対極として音楽ではライブ、映画では映画館が重要になっていくのではないでしょうか。物凄いサラウンドシステムを家に備え付ける事は出来るかもしれませんが、それが出来るのは極少数の限られた人だけです。音楽ライブの迫力、映画館で見る家では体験できない映像と音。そういった物が見直されていくのではないでしょうか。

<グダグダっと時間をかけて書いているうちに、佐藤秀峰 on Webの漫画制作日記に漫画貧乏その9。が出ております。ご覧になって下さい。>

 それではマンガの場合、ビジネスとして価値があるものは?というと、単行本になるのではないでしょうか。音楽のライブでは、奇跡的なすごい演奏だとか、飛び入りのジャムセッション、客の乱入、トラブルなども付加価値として伝説化するのですが
そういえば昔、江口寿史のお蔵出しというマンガにマンガ家が大きな野球場に人を集めてライブをやるというマンガがありました。みんなの見ている前で4コママンガを作って、出来たものをオーロラビジョンに映し出して、観客がドォーッと受けるというような話だったんですが、それは実現不可能ですね(笑)
マンガの場合、webにアップロードした物を読むのが全てだと、音楽と同じくコピーデータが流通してしまい売り上げ自体が早晩頭打ちになってしまう事でしょう。結局内容はそうやって見れたとしても、それに金額を出したくなる付加価値が必要です。今考えられるのはやはり単行本ではないでしょうか。佐藤秀峰 on Web漫画貧乏その9。では具体的に旧作は10円、新作は30円という価格設定をされています。なるほど非常に安い金額なので手軽に読めますが、佐藤秀峰 on Webにアクセスして読むスタイルで、一定の収益を上げていく事が出来るでしょうか。私はデータコピーなどの問題が解決されないと難しいと思います。
 そこで今一度、佐藤秀峰氏のwebサイトを見ると、全く広告もアフィリエイトもショップもありません。ショッピングページは作ると仰っているのですが、それ以外についてはどうなんでしょうか。氏のwebサイトの現在の集客を考えれば、当然アフィリエイトや広告は大きな収入源になるのではないかと思います。

 現時点で佐藤秀峰氏の望み通りにウェブコミックが大きな収入源になるとは考えづらいと思いますが、アフィリエイトや広告などを組み合わせてシッカリしたウェブサイト経営を行っていただき、ウェブで成功したマンガ家第1号となるように願っております。

 ちなみに、今の佐藤秀峰 on WebのAdobe flashの重さは混雑の影響だけではないと思います。flashをメインにしている動的なウェブサイトから、できれば静的なサイトに変換していただく方が読みやすく扱いやすいのではないでしょうか。
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by zukunashi | 2009-04-16 22:12 | マンガ(新しい) | Comments(0)


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