人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ミケランゼロの1%(その肆)
梅雨っていう感じのどんより曇りの平日です。いかがお過ごしですか。体にカビが生えちゃいそうですね。ズクナシです。終わって随分経ったなぁとやっと実感しました。仕事と思ってやったとしても、稀有な経験でしたからね。
さて、前回はどんな風に裁判員は裁判に関わっていたかということを書きました。今回も同じようなことになるのですが、私から見た…簡単に言うと裁判員席から見た裁判の景色をお話したいと思います。

裁判官、裁判員の席は裁判長を中心に証言台をぐるっと取り囲むように少し弧を描いて並んでいます。裁判長、右陪審、左陪審と三名が真ん中に座り、その両側に裁判員が座ります。そしてコロナ禍での裁判では裁判官それぞれと裁判員それぞれも全てアクリル透明板で隔離されており、1人幅90センチぐらいの机が自分のエリアになります。机の前にはマイクロフォンが一人に一つあり、二人に一台ディスプレイがあります。マイクロフォンは拡声するわけじゃなく記録用で、質問するときは全てそこに向かって話します。そして証言台の横に実物投射機があり、そこに色々な証拠品を置いて法廷内の左右の壁にある大型のディスプレイと、裁判官と裁判員席に置かれているディスプレイがそれを映し出します。あとは動画のようなものも映せるようになっています。
私の席から前を見ると、右前に弁護人がいてその人の向こうには被告がいました。被告の後ろには刑務官でしょうか、いかつい二人の制服職員が座ってました。
一方左側は検察官です。今回は最大三人で時々二人でした。主席の検察官らしき大柄の男性と次席らしい女性、下っ端らしい若い甲高い声の男性でした。その後ろにはこの裁判所の職員の方らしき人が居て、実物投射機使うとき等に色々実務をこなしていました。
その後ろは仕切りがあって傍聴人席になっており、出入りする場所は端のところだけでになっていました。コロナのせいで一人置きに座るようになっていたので、いつもスカスカな印象でした。
証人尋問の証人はその傍聴人席から法廷に入ってきました。おやっと思いますね。証人が控える席はないんです。そして一度だけ既に刑務所で服役している証人がやってきたことがあります。その時は腰紐を着けられ手錠をして刑務官に前後を挟まれて入退場します。証言台で証言するときには手錠も腰紐も外されます。証人尋問が中休みになるときはちゃんと腰紐付けて手錠をして退廷し、休廷後の再開するときにはまたちゃんと付けて入廷し、と律儀に付けて外してを繰り返します。(当たり前ですが)そして服役している人は傍聴席からではなく退廷して休憩しているようでした。
証言台から裁判官の席までには書記官通訳者がいます。書記官はさっき書いた実物投射機を使うときに、ディスプレイの切替器を操作しているのですが、裁判映画で出てくるような、一心不乱にタイプを打つみたいなことは一切していませんでした。あと今回は被告が日本語より外国語の人だったので、通訳者がいます。

こんな描写でどういう法廷を想像されたかなぁと思いますが、実際の法廷での私達の動きもお話しましょう。

開廷前、私達は一旦法廷のそばの部屋に通されます。その時裁判長だけが一人法廷に入っています。少しすると裁判所の事務員が呼びに来て、全員入廷します。実はこの間は被告の人が入廷して腰紐や手錠を外す間なのだそうです。理由は「手錠をしているという状況を見ると先入観を持ってしまうので」ということです。手錠を外したりするのは裁判長の指示で行うので、裁判長だけがまず入廷するのです。そして私達裁判官、裁判員が入廷すると全員揃った時点でまず私達は一礼をします。そして席に着きます。
証人尋問、被告人質問中は前にも書きましたが、ほぼずっと座ってます。椅子の高さを変えようとしてガタンと音がしたときに、図書館のようによく響いたのを覚えています。
そして裁判員が質問をする時、ここ重要なんですが、名前を呼びません。安全面のことだと思いますが、一番裁判員、二番裁判員…という風に番号で呼ばれます。裁判員からの質問のときはこんな感じです。

裁判長…それでは裁判員から質問いたします。最初は一番裁判員からお願いします。
一番裁判員…証人の方にお聞きします。先ほど・・・

という風に名前を呼ばれませんし、自分からも名乗ってはいけません
さて退廷するときは入廷のときの逆をします。まず裁判官裁判員全員で起立して一礼をします。そして裁判長を残して退廷します。そして皆出ていくと裁判長が被告の手錠などをつける指示をして被告は退廷するという手順(だった)ようです。

裁判員席は裁判官と同じ法廷の一番うしろの高い席に居ます。そこで刑事事件の場合、被告の人生を左右する判断をしなければいけない。とても恐ろしい場所と言えます。そして…こういう言い方をするとなんですが、とても興味深く、好奇心溢れる場所でもあります。そのことについては次回にお話したいと思います。そして次回で一応この連載も終了になります。

最終回を乞うご期待‼




入退廷のときに裁判官と裁判員全員で一礼をします。その時別に皆さんも礼をする必要はないと思います。小中学校の朝礼で学級委員が
「起立!礼!着席!」
と声かけますが、私達が入るときには
「全員ご起立願います」
と裁判所の人が声をかけているのは聞きます。
私達が礼をすると刑務官は敬礼します。弁護人と検察官は礼を返します。被告人も礼をしました。傍聴人はする人もいればしない人も居ます。
そして皆バラバラに座ります。
ここらへんは私は結構好きです。

by zukunashi | 2021-06-23 20:31 | 映画・演劇・音楽


<< ミケランゼロの1%(その伍) ミケランゼロの1%(その参) >>