7月に入って直ぐにTwitterでボヤ騒ぎがありました。
舞台になったのは日暮里にある小劇場「d-倉庫」
ここで今月初めに解散公演をする劇団が水を使った公演で、そのセットや手際の悪さ、対処の杜撰さが暴露されて騒ぎとなったのです。とは言え演劇関係から外に飛び火しているわけじゃないのでボヤ程度と言っていいでしょう。
しかし事はちょっと深刻です。
非常によくまとまっているのでどんな騒動なのかを確認するには
※d-倉庫 水事件・・・NAVERまとめ
をご参照下さい。(正直NAVERまとめはあまり好きじゃないですが、使う人によって非常に素晴らしいページになります)
もっと簡単に知りたい方は
※d倉庫の件・・・togetterまとめ
こちらは告発者のツイートが簡潔にまとめられています。
【追記】また、その後作られたまとめは関連ツイートが上手くまとめられています。
※小劇場と「舞台監督」と「安全」について・・・togetterまとめ
とはいえ今後事実関係が公になることは無いでしょう。飛行機や新幹線の事故じゃないし、人が死んだわけでも家が焼けたわけでもないですから。多分このまま何も起きずに公演が終われば”無事にすんでああよかったね”となってしまうのでしょう。というのも告発者のツイートで炎上状態になってからのd-倉庫と劇団の対応がなんとも
オトナな対応だからです。
一連のTwitter騒動についての追記です。
同じ土俵で言及するのは避けておりましたし、劇団だけに留まっている分には何を言われても構いませんでした。
ただ、インターネット上で、大切な客演の皆さん、大切なスタッフの皆さん、最終的にお越し下さるお客様への批判もチラホラ目につくようになりましたので…
事の発端であります、照明補佐の方について、私共サイドの見解を少しだけお伝えさせてください。
仕込み当日、照明増員として現場に来られました。
チーフの照明スタッフが呼んだ訳ではなく、後から聞くと、補佐の方がお声掛けされたそうで、出演者や他のスタッフ誰もが、一体どこのどなたなのか分からない状態でした。
劇場さんに仕切りに「公演中止にしろ!」と詰め寄っており、そもそも貴方はどなたですか?と押し問答になりました。
Twitterでの実況には、事実と異なる事が多くあります。
例えば、ご自身のTwitterで無給でお手伝い…とありますが、照明スタッフを通して、日当1万8千円で手伝ってやる、と連絡がありました。
予算の関係でお断りした次第です。
Twitter上では、上演の心配をして下さっているようですが、その後、何のご連絡も頂いておりません。
上演前の騒動ということもあり、お客様の不安を煽るような事は本当に避けたかったのですが、これ以上の騒ぎがありましたら更にご心配をお掛けすると思い、断腸の思いでここに綴らせて頂きました。
万が一の場合は、訴訟も念頭に入れております。
・・・後略・・・
IKUYO MAGIC 一連の騒動につきまして 2015-07-06 10:57:20より引用
・・・前略・・・
そして、一連の騒動についてです。
オフィシャルTwitterにも、劇場さんのTwitterにもご報告させて頂きました通りです。
本日まで、お客様から直接お問い合わせや苦情は1件もございませんが、ご来場予定のお客様の中には心配なさっている方もいらっしゃるかと思いますので…
まずは、お騒がせして申し訳ありませんでした。
信頼する舞台監督、舞台スタッフに劇場を見てもらい、安全点検とアドバイスをしてもらい、問題は無いと言って頂きました。
心配して駆け付けて下さった裏方の皆様にも、その都度、様々な角度から確認してもらっています。
そして今後も、第三者の信頼出来る舞台監督の皆様に、点検とアドバイスをして頂く予定です。
お名前は出せませんが、本日来て頂いた御二方、ありがとうございました。
また、事の経緯をより詳しく知りたい!というお客様は、直接劇団までお問い合わせ下さい。
舞台やってる以上、100%の安全なんてありません。
が、それに限りなく近い形でのパフォーマンスをお観せできると思います。
・・・後略・・・
NO ACT★NO LIFE 弓張月3日目終了。2015-07-06 01:47:01より引用
d-倉庫
@d__soko
Twitter上でお騒がせさせてしまっているようで、済みません。昨日、舞台装置にトラブルがあったことは事実ですが、現状では劇場としては水没もしてませんし、大丈夫です。劇団との協議を行い対策を設けた上で予定通り公演も行います。心配をさせてしまって申し訳ありません。
18:41 - 2015年7月3日
d-倉庫ツイートより引用
劇団BOOGIE★WOOGIE
@gekidan_bw
《お詫び》Twitter上で流れております当劇団の騒動について。
騒動にあります水の装置のトラブルにより範囲を越えて水が流れてしまったのは事実です。改善をし改めて劇場様にも了承を得て本番を迎えさせていただいております。ご心配をおかけしまして、大変申し訳ございませんでした。
18:58 - 2015年7月3日
劇団BOOGIE★WOOGIEツイートより引用
何を以ってオトナの対応と指摘するかといえば、外には身内の恥を晒さずにしっかり対応したことを印象づけようとしているからです。
4つの引用は上から新しいもの順です。一番上は劇団創立メンバーのブログ、その下は主宰のブログ、d-倉庫のツイートと劇団のツイートです。
個別にああだこうだと言う事も重要かもしれませんが、四つに共通するのは全く事実関係を詳らかにするつもりがないという点ですね。告発者の方は結構細かく状況を書いています。それに対して劇団と劇場側からは
水の装置のトラブルにより範囲を越えて水が流れてしまったのは事実です。
昨日、舞台装置にトラブルがあったことは事実ですが、現状では劇場としては水没もしてませんし、大丈夫です。
という2つのツイートだけで、どんな事が起きたのか?それに対してどんな対策をとったのか?と言うことを説明するつもりはなさそうです。となれば今回の公演が今まで上手く言っているのは告発者の単なる取り越し苦労なのか奇跡的な綱渡りなのかはわかりません。
ところでTwitterは文字数が少ないですから詳しく状況を挙げるのに適していないですが、ブログはそういう制約もなく長く書き連ねることが出来ます。ですが、創立メンバーのブログにも主宰のブログにも、場当たりで起きた事故(と敢えて書きます)については全く書かれていません。
いや、創立メンバーのブログには事実と違うと書いてますが、それは日給がどうのとか誰が呼んだのかという話で、ナゼ告発者が『劇場さんに仕切りに「公演中止にしろ!」と詰め寄って』いたのかという多分一番肝心な点については全くスルーです。
劇団主宰の方のブログもそうなんですが、とても楽観的です。『信頼する舞台監督、舞台スタッフに劇場を見てもらい、安全点検とアドバイスをしてもらい、問題は無い』と太鼓判を押され、『心配して駆け付けて下さった裏方の皆様にも、その都度、様々な角度から確認して』いる事が綴られています。そして幕引きを図る締めの言葉として
”舞台やってる以上、100%の安全なんてありません。”
そしてそのあとそれに限りなく近い形で云々と書かれてこの件については終わりなのでしょう。
劇団創立メンバーのブログの方には最期にこんな文章が有ります。
上演前の騒動ということもあり、お客様の不安を煽るような事は本当に避けたかったのですが、これ以上の騒ぎがありましたら更にご心配をお掛けすると思い、断腸の思いでここに綴らせて頂きました。
万が一の場合は、訴訟も念頭に入れております。
これらの文章から読み取れることがあるとすれば、それは昭和的情報隠蔽と無責任ではないでしょうか。創立14年目の劇団は平成でしかも21世紀に創立されているにもかかわらず、です。
まず、現代的なやり方をするなら、情報は公開する方が秘匿しておくより結局はリスクもコストも低く抑えられます。そのためには透明性、そして匿名性は重要でしょう。誰がどんなふうにどこをチェックしたか、そしてどんな対策をしたかを、だれにでも見れる場所に公開しておくだけでいいでしょう。そして情報閲覧者が名を明かさないくてもいいようにする。誰が情報を見に来たのか探らない、確認しないということです。
お二方はブログでそういう情報公開を全く考えてないかむしろ否定しているようです。
創立メンバーの方は『断腸の思い』と書かれましたがお客様に心配をおかけすることが断腸の思いに繋がるのだとしたら何故本来の事実に蓋をして人間関係や日当のことだけを書いたのでしょう?当日起きた事実として漏電に繋がるような事故より日当や誰が呼んだ人なのかということのほうが重要だとお考えなのではないでしょうか。また訴訟をほのめかすなど
”脅し”ていると取れると誰も指摘しないのでしょうか?
また劇団主宰者さんは『事の経緯をより詳しく知りたい!というお客様は、直接劇団までお問い合わせ下さい。』とアッケラカンと仰られてますが、当然それでジャンジャン電話がかかってくるようなこととなれば、本当に重大だとなりますが、日暮里の小劇場での話なので、そんな電話がかかってくることもありますまい。それを見越してそう書かれたのだとすれば、素晴らしいやり方です。
そして責任の所在ですが、これは散々言われていますが、通常は舞台監督、そして劇団代表者でしょう。演劇関係者のほとんどは芝居が始まって幕が下りるまで、舞台上と裏で起きることについて、舞台監督が責任者と思っているでしょう。そしてその芝居全体の責任は主催劇団に有ることでしょう。
だとすればTwitterやブログという媒体に載った今回の発言の中で舞台監督はどうしているんでしょうか?第三者の舞台監督や信頼できる舞台監督という人は出てきていますが(因みに告発者の方も舞台監督経験者です)今回の芝居の舞台監督は全く出てきていません。そして極めつけは前掲した主宰のことば・・・
”舞台やってる以上、100%の安全なんてありません。”
例えば自動車事故をした運転手がこれを言ったらどうでしょう?
”運転やってる以上、100%の安全なんてありません。”
例えば市営プールで水難事故が起きたとき、プールの監督者が言ったらどうでしょう?
”泳いでいる以上、100%の安全なんてありません。”
例えば・・・
もういいでしょう。私が何を言いたいかお分かりですね。この言葉は被害者が諦めの台詞として言うのは許容されますが、逆の立場の人が絶対言っちゃダメな言葉ですね。別に犯人探しをしたいわけじゃなくてもこう言われるとなんか粗を探したくなるぐらいムズムズする無責任さです。
今回は多分このまま平穏無事に終わることでしょう。でもそれは告発者の取り越し苦労だったのかそれともぎりぎりの綱渡りだったのか?最初に書いた通り分かりません。でも少なくとも私は2つの教訓を得ました。
今後d-倉庫で設備的な不具合があれば、きっとこの事を思い出します。
劇団BOOGIE★WOOGIEとしての最後のステージ、
その想いや決意を固まりにして、今の演劇界に恩返し出来れば。
そう思っております。
劇団BOOGIEWOOGIE WEB SITEの『挨拶』より引用
もう一つは彼は恩返しのやり方を知らないらしいということ。直接接点もなくこれからも繋がりそうにないですが。このことが禍根となってなにか起きたとしても彼はこう言うんでしょうかね。
”人生やってる以上、100%の恩返しなんてありません。”