長い長いさんぽ 後編 須藤真澄と『ゆず』
長い長いさんぽ 須藤真澄と『ゆず』の続編です。6月12日に買ってきました。

いよいよゆずを斎場に連れて行き焼いてもらう。現実と夢の狭間で葛藤している須藤さんが道々で花を手向け虹を見ていっしょに厭々斎場に近づいて行きます。
斎場でのシーンは去年三回行った人間での葬式とほぼ変らない。ただお別れのテープは流れなかったですが・・・・・・。

・・・と、作品解説を淡々と続ける事も・・・でも、今回の話で本当に一箇所だけ涙があふれてきたシーンがある。そこのシーンについてだけ書いて終わりにしたい。
実はこの話についてはあまり触れてはいけなかったのではないかと思い始めています。この話について書くことが、本当にしなければいけない事と思えなくなってきたのです。この話は作者の純な想いがぎゅっと凝縮してつまっている。私の稚拙な解説や話が、ストレートに伝わるはずの思いを阻害するかもしれないと、私自身が萎縮してしまった。なので一番涙腺が緩んだシーンだけ書きます。

それは最後から数えて3ページ前。先に逝ってしまったゆずがもし天国で須藤さんを待っていたなら、覚えてくれているだろうか?という須藤さんの問いに旦那さんは・・・

忘れちゃってたら
また 一から
初めりゃいいじゃん   (コミックビーム7月号『長い長いさんぽ』より)

と答えた。その刹那に須藤さんはまだ小さかったゆずとの夜中の散歩を思い出していた。私もそのマンガを読んでいる。その前後のシーンもよく覚えている。

あの頃は・・・

今より十年以上前。私が新たな生活に希望を燃やし、上京して最初に住んだのは中央線沿線だった。うちの奥様の家に転がり込んで行った様なものだ。近くにアパートを借りて本当に足繁く通い一緒にいろいろな所に行った。行った先の一つに西荻窪の田毎というおでん屋があった。実はそこは須藤さんのマンガに出てきていたのだ。そう、付き合っている当初から二人とも須藤さんファンだった。そして西荻窪に時々通い、よく行く店に顔を出し、本人に会えるのではないかと心ひそかに期待していた。しかしそんなに神様は甘くなかったのだがね。だけれどもその当時は恋人同士で夜の西荻窪を歩きながら、
『もしかしたらここをゆずが歩いたのかもしれない』
『ココでチッチしたんじゃないか?』
『ココは遊ぶのにはいいところだ』
などと言いながら、歩き回ったのだ。一つ間違えればストーカーといわれてもおかしくはない。
(余談だがユーミンは松任谷正隆に対してほぼストーカーだったらしい)
そんな生活にどっぷり漬かっていた時の思い出が、ザーッと音を立てて私の脳内を刺激していきます。
ゆずが16年にわたりこんな猫生を送ると誰が知っていただろうか。そしてなぜ飼い主でもないのにこんなに思いがあるのだろうか。
マンガを通してゆずのほんの少しの飼い主になっていた自分に、今更ながら驚かされます。

ゆずは私にとってもかけがえのない飼い猫だったのでした。須藤真澄さんのペン先を通じて、本当に微かな繋がりだったのでしたが、一緒に過ごした時間は決して忘れない事でしょう。


『ゆず』を引越しのダンボールから出さなきゃ。

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by zukunashi | 2005-06-19 22:10 | マンガ(新しい) | Comments(0)


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