『常務島耕作』はいったいどこの世界の人?!
木曜日に買ってきて、読んで、『常務島耕作』について書こうかなぁ、どうしようかなぁと悩んでいるうちに▼CLick for Anti War 最新メモ 2005-6-5に先を越されたというか2chのニュース板やマンガ板に晒されているとは・・・当たり前か。

もし今週の『モーニング』№27を読んだ人なら、チョット考えて欲しい。3号連続なんでやばいぞ弘兼憲史さん。実際のネームをそのまま使いできる限り簡単に今週号を説明すると…
北京初芝の冷機工場でストライキが起きた。そこに駆けつける島耕作とその秘書謝の二人がハンドトーキーを持って従業員たちの前に出て説明する。(島耕作の話しを謝が訳す)
「では 先ほどから
皆さんが
口にしておられた
日本の軍国主義
日本の過去に
対する謝罪
戦争責任について」
「日本人の私が
私の意見として
お答えしましょう」
「日本は確かに第二次世界大戦で
中国に侵攻し植民地政策をとり
多くの中国人を
死に追いやったことは確かです
その事を日本国民はすべて
知っておりますし
責任を痛感していますし
日本の歴史の教科書にもちゃんと
書いてあります」以下続く・・・(ふき出しなので改行もそのまま)
全部書くのは憚られるのですが、その後中国人労働者は二人に対して生卵をぶつけます。
「それ!みんな
卵をぶつけろ!!」
「そんな嘘に
中国人は騙されないぞ」ばしばし投げつけられる二人。その行為を一喝する秘書謝。
「これでおわり?
投げ残しの
卵があったら
今のうちに
投げなさいよ」
「…中略…」
「誇り高い中国人が
いつからこんな
程度の低い国民に
なり下がったの?
恥を知りなさい!!」
「常務 どうぞ
お続け下さい」
「さらに 皆さんに
あなた方 中国国民が
知らされていない
事実
申し上げます」(事実は点がついて強調されていたのですが、出来ないので太字にしてます)
「どなたかが 先ほど
戦後賠償を支払えと
おっしゃっていましたが
公式には
1972年の
日中共同声明で
終止符がうたれています」
以下彼の言う知らされていない事実は円借款事業、民間融資、労働争議、そして会社を愛する気持ちについての演説と続く。最後にこのまま職場復帰するなら処罰無し減給などもしない、という言葉を聞き行員たちは一人一人その場を去りやがてみんな職場復帰する。
謝「島常務 なかなか
  ステキでしたよ」
島「君もな」
書いてある言葉は忠実に引用しました。【モーニング 2005年27号『常務島耕作』より】

25、26号での『自作自演』といい今回の『ストライキ騒動』といい共に最大の問題は
作者の頭の中だけの架空の物語
というところです。いや確かにマンガも小説も映画も演劇も“架空”のお話なんですが、通常現代の社会現象をそこに織り込むときぐらいは事実を載せて欲しいものです。と、これを事実でないと断ずるには私も証拠がありません。確かに起きていない事実というものを探す事は出来ないですから本来なら作者の方に元ネタを提示して欲しいのですが、ネットリソースの狭間でひっそりやっているこのブログを、弘兼憲史が見ている訳が無いと考えるのが通常です。
という事で相手のいない話になってしまうので、それも結構不毛なので必要最小限のところだけ批判しておきます。

25から27号にかけての中国人の反応及び中国でのメーカーの対応は何かの事実に基づく話なんでしょうか?全部事実でアレとは言いませんが、下敷きにしたものなんでしょうか。
漫画だから(またはネットだから)作者の自由である(入力者の自由である)という事は成り立ちません。少なくとも勝手にレッテルを貼って勝手にそれを批判するのは“妄想との戦い”です。その妄想の相手に勝手にされてしまえば誰だっていい気持ちはしないでしょうね。

そういえば今回の事については集英社問題を考える地方議員の会は・・・歴史を歪曲した!とか言って騒ぐ事は無いんだろうなぁ。この方々は歴史には全く興味が無いですからね。事実を自分達で認定したいだけですから。

今回の島耕作を読んで思い出すのは北アメリカ先住民族を旧約聖書の『失われた十部族』であるとして北アメリカ先住民族を追い詰めていった話や、植民地時代アジアやアフリカで土着の宗教を異教として排斥していったクリスチャン、シオニストの話などを思い出した。
“事実はこれだ!”という思いが相手から見るといかに狂信的な押し付けになるか、反面教師としてモーニング2005年の25から27号にかけての『常務島耕作』はすばらしいテキストになる。しかもこれが日本アメリカ中国を又にかけたグローバルビジネスマンという設定であるだけに、作者の力量の無さにタメイキが漏れてしまうのだ。
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by zukunashi | 2005-06-05 18:11 | マンガ(新しい) | Comments(0)


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