十一ぴきのネコ 井上ひさし 長塚圭史 紀伊國屋サザンシアター
十一ぴきのネコをみてきました。

元々アンダーグラウンド演劇から芝居の世界に入り(うちの姉の影響である)新劇や大衆演劇もチョット覗いてみたこともありましたが、ほとんど小劇場、アングラ芝居ばかり観てきました。ですが2012年芝居はじめにうちの奥様が一念発起して高いチケットを取ってくれた芝居が『十一ぴきのネコ』だったのです。
実は初井上ひさし、こまつ座です。
かつては全く興味がない芝居でした。好きとか嫌いではなく、無視していた芝居でした。
年を取ったんでしょうか(笑)まあでも芝居なら何でも好きになって来ましたよ。でも見て面白いかどうかは別ですけれどもね。(ン年前の朗読劇とかは今見てもダメだろうなぁと思いますけどね)

という事で、いそいそと久々の新宿へと参りました。

以下ネタバレもありますので、これから観に行く方はご注意下さい。

まず、サザンシアターでかいっす(笑)そして17番目でしたが、比較的見やすくできていました。
舞台も心持ちせきがわに傾いていて、見やすい舞台になっていましたし、大道具がほぼ無く、下手ソデにピアノが置いてあるだけで、とてもシンプルな舞台でした。

ライトも動いている人をピンで抜くような灯りもありましたが、オーソドックスな構成で見やすかったです。

そしてお芝居ですが、会場前から出演者が客席にウロウロ現れて、お客様とふざけ合う光景がそこかしこで見られ、特にお子様はよくいじられていましたね。場内案内のこまつ座のハッピをきたお姉さんもいじられてました。そんな緩い雰囲気で始まりましたが、台本が古いせいもあって、のっけのシーンを見て、今の子供達に空き地に土管って、わかるのかな?といらぬお節介をしたくなりました。でも、のっけから楽しい演出になっていて、掴みはオーケーです。

このお芝居は全2幕。第1幕目はにゃん太郎と他の10ぴきのねこが出会って旅に出るまでの話。第2幕目は旅に出て大きな湖について大きな魚を捕まえようとする話です。
第1幕では希望を持って旅に出ようとするまでのにゃん太郎の孤軍奮闘がコミカルに演じられ、それ以外の10ぴきのねこが生きる希望を亡くしてもう死んでしまおうかと思っているところから、なんとか頑張って旅にでる気になるまでのあーだこーだすったもんだを、やっぱりコミカルに演じています。
話の中には死んでしまおうとするくだりなんかもあり、子供に大丈夫?と思う場面もありますが、陽気で前向きなにゃん太郎に引っ張られるように元気に出発します・・・その裏では老猫が自らの命をたってしまう寂しいエピソードもありますが。単に前向きで明るいだけじゃないです。一筋縄では行きません。

そして2幕目。旅の途中で案の定腹が減ってフラフラになり、人の畑のものを勝手に食べたり、空元気を出すためにいろいろにゃん太郎が手を変え品を変え皆の気分をノせます。そしてとうとう大きな湖に到着。大きな魚とご対面。今度は大きな魚を捉えるためにいろいろやって、とうとう捕え・・・あとは実際芝居を見てのお楽しみです。

さて、2幕の途中で何故野良猫になったのかが語られます。今回のお芝居は相当古い台本を使ったようで(あとで酒場で聞いた話しでは昭和50年代の初演の台本を使ったそうです)ベトナム戦争の話が出てきました。1幕の最初のシーンでも空き地に土管が置いてある舞台だったり、大きな魚を捕まえるために飛行機で特攻したり、地上のユートピアが出てきたりと時代が古いなぁと感じるシーンが結構出てきます。私の年ならそんなに違和感なく見ていましたが、小学生ぐらいだと、どう思ったんでしょう。意外とそのままサラリと流しているんじゃないかと思います。家に帰ってベトナム戦争をウィキペディアで調べている子がいるかも知れません。もしそうやって調べたら、今から3,40年昔に戻れば今と全く違う日本だった事に気がつくかもしれません。
それも芝居を見る楽しさの一つかもしれませんが、引っかかるものを感じます。やっぱり芝居なんだから、演技で勝負して欲しい、と。
でも実を言えば演技も素晴らしかった。舞台の端から端まで使って跳びまわり、走りまわり猫っぽくでも人間臭く、そしてチョットファンタジー。キャッツのような舞台とも違いますが、ある意味ちゃんとねこが主人公でした。そしてそのねこは飼い主だった人間の影響を受け、本当に人間臭いねこでした。そして、人間臭いねこばかりの中で、ただ一人・・・いや一匹”猫糞のにゃん十一“だけが普通の猫でした。飼い主とも適当に距離をおいてい他半野良だったねこ十一。うちのはメス猫ですが、喋れたらこんなふうかなと思いました。

この芝居は現代文明に対する風刺だとか、社会に対する鋭い警告だとかいろいろ考えさせられる事でしょう。
ですがこの芝居について、最初は動物農場を思い出しました。あそこまであからさまな風刺ではないと思いましたが、確かに風刺っぽく感じるところは多いですね。
しかし、最期のにゃん十一の生き様を見て、なぜか幕末太陽傳の居残り佐平次を思い出します。にゃん十一が歌いながら舞台を去っていった時に、この芝居の面白さを感じました。とは言えきっと独り合点ですけどね。

馬場のぼるさんの絵本もそれは面白いんですが、芝居になった時、こういうふうに出来る井上ひさしは、やっぱりすごい人だったんだと、やっと受け入れることが出来ました。

2012年芝居初めがこれだとすれば、今年の観劇のテーマは・・・食わず嫌い克服・・・かな?でも2月に寿歌が上演されるしなぁ・・・。
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by zukunashi | 2012-01-19 14:59 | 映画・演劇・音楽


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